農業経営において、収穫物や農機具を安全に保管することは重要です。 近年では、天候急変や盗難被害の対策として、農業用倉庫が利用されています。 しかし、農業用倉庫を建てるには、通常の倉庫とは異なる申請や手続きが必要です。 そこで今回は、農業用倉庫とは何か、どのような用途で使用できるのかなどについて解説します。 また、必要な申請や手続きについても紹介するので、農業経営者様は参考にしてください。
農業用倉庫とは
農業用倉庫とは、トラクターなどの農機や農薬・肥料といった農業用資材を保管する際に使われる建物のことを指します。
特徴を以下のようにまとめました。
● 農地のそばや近隣エリアに建設
● 農業用倉庫の用途
● 農業用倉庫を建てるメリット
● 許可なく農地内に建てると違法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
農地のそばや近隣エリアに建設
農業用倉庫は、農地の敷地内や農地横などに建てられるケースが多く、農作物や農機具などを収納する目的で建てられます。 一般的には、鉄骨造や木造のものが多く、必要な広さや機能に合わせて自由に設計できます。 ただし、農地内に設置する場合は手続きが必要です。 手続きに関する詳細は後述します。
農業用倉庫の用途
農業用倉庫は、農作物や農機具の保管以外にも、様々な用途で活用できます。
以下に、おもな用途をいくつか紹介しましょう。
● 農業用機械の格納:トラクターやコンバインなどの農機具を保管する
● 収穫物の一時保管:収穫した農作物を一時的に保管する
● 収穫物の仕分けスペース:簡単な作業をする
● 収穫物の直売所:収穫した農作物を直接販売する
● 休憩スペース:農作業の合間に休憩する
● 資材の保管:農具や資材を保管する
農機具の収納や農作物の一時保管などに利用できることから、作業する農地の近くにあると便利です。
農業用倉庫を建てるメリット
農業用倉庫を建てると以下のようなメリットがあります。
● 作業効率が向上する
● 農業機械を安全に保管できる
● 収入を生み出す
農機具を整理整頓して保管でき、必要な道具をすぐに取り出せるため、作業効率が向上します。
また、農機具を雨風や盗難から守るためにも役立ちます。
スペースの一部を直売所として活用すれば、収穫した農作物を販売でき、収入も生み出せるでしょう。
許可なく農地内に建てると違法
農地を農作物の栽培以外に使用するためには、農地法に基づいて農地転用の手続きが必要です。 無許可で農業用倉庫を農地内に建てると農地法違反となるためです。 申請する場合は、農地法第4条に従って手続きをしましょう。 所有地の場合は、200㎡未満と200㎡以上で申請の要不要が違います。 後述するので参考にしてください。
農業用倉庫を建てる際に必要な申請
農業用倉庫を建てる際に必要な申請について解説します。
● 農地法に基づく農地転用の手続き
● 農業用倉庫建築に必要な申請と流れ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
農地法に基づく農地転用の手続き
農地に倉庫や作業場などの農業用建築物を設置する際は、農地転用の申請が必要です。
自分の土地だからと勝手に建設すると違反となってしまいます。
場合によっては、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(法人の場合は1億円)を課せられ、現状復旧をしなければならないなどの可能性があります。
また、農地から宅地へ変更されると、固定資産税が上がります。
その点を考慮して申請しましょう。
ただし、自己所有の農地で200㎡未満であれば「許可」は不要ですが、「農業用施設証明」などの申請が必要です。
参照:農地法施行規則第29条
農業用倉庫建築に必要な申請と流れ
農業用倉庫建築に必要な申請と流れについて解説します。
1.農業委員会へ申請:農地転用届出書
2.市町村の建築課へ申請:建築確認申請(民間の指定確認検査機関でもOK)
3.農業委員会へ申請:転用確認証明申請書
4.法務局へ申請:設置後1か月以内に地目変更登記申請書
都市計画区域外で100㎡未満の建物だと、建築確認申請が不要なケースもあります。
また、農地に農業用倉庫を建てると、その部分は「農地」ではなく「宅地」という扱いになります。
土地の利用状況「地目」が変わるため、設置後1か月以内に法務局へ「土地地目変更登記申請書」を提出しましょう。
農業用倉庫のタイプ
農業用倉庫には、おもに以下の3つのタイプがあります。
● プレハブ
● 鉄骨
● 木造
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プレハブ
プレハブ倉庫は、工場であらかじめ部品を製造し、現場で組み立てる倉庫を指します。
安価で短期間に施工でき、品質が均一なのがメリットです。
プレハブの一種であるユニットハウスは設置するだけのため、施工期間も短期ですみます。
一方で、強度や耐用年数に劣る、デザインのバリエーションも少ないといったデメリットがあります。
プレハブ倉庫のメリット
● 安価
● 短期間で施工できる
● 比較的簡単に増設や移転ができる
プレハブ倉庫のデメリット
● 強度や断熱性が劣る場合がある
● デザインのバリエーションが少ない
鉄骨
鉄骨倉庫は、鉄骨を骨組みにして建てる倉庫です。
プレハブ倉庫よりも強度や耐用年数が優れており、デザインのバリエーションも豊富です。
デメリットとしては、結露しやすいため、防錆対策が必要な点です。
鉄骨倉庫のメリット
● 強度や耐用年数が優れている
鉄骨倉庫のデメリット
● プレハブ倉庫よりも費用が高い
● 施工期間が長い
木造
木造倉庫は、木材を主要な材料として建てる倉庫です。
自然な風合いがあり、環境にも優しいというメリットがあります。
木材は軽量なため地盤への荷重が軽く、基礎工事の負担が少なくすみます。
減価償却期間が短いため、節税効果も期待できるでしょう。
ただし、鉄骨倉庫やプレハブ倉庫よりも強度や耐用年数が劣り、白アリなどの害虫被害を受けやすいというデメリットもあります。
木造倉庫のメリット
● 自然な風合いがある
● 環境に優しい
● 基礎工事の負担が少なく工期が短い
● 減価償却期間が短く節税効果がある
木造倉庫のデメリット
● 鉄骨に比べ、広いスパンが計画しづらい
● 白アリなどの害虫被害を受けやすい
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