近年、環境への配慮やコストパフォーマンスの向上から、非住宅分野でも木造建築への注目が高まっています。 木造建築は、軽量性や木目のデザイン性といった魅力に加え、CLT木材の活用や耐火性能の向上により、より幅広い用途で採用されるようになりました。 今まで木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ、大きな空間を持つ建造物を建設しにくいという課題がありました。 そこで注目を集めているのが、無柱大空間を木造で実現するさまざまな構法です。 本記事では、非住宅木造建築の特徴と、無柱大空間を実現する代表的な構法を紹介し、最後に当社が採用しているATAハイブリッドトラス構法について詳しく解説します。 ぜひ参考にしてください。
非住宅木造建築について
非住宅木造建築とは、住宅以外の小規模な店舗や事務所から、大規模な体育館やホールまで、さまざまな用途に用いられる木造建築物です。 その特徴について詳しく解説します。
住宅以外の中規模建築物
非住宅木造建築とは、住宅以外の用途で建てられる建物のことです。
事務所や店舗、体育館や校舎・園舎、医療や福祉施設、アパートやマンション、ホテル、工場といった住宅以外の建物を指します。
近年、公共の建築物を中心に、非住宅を木造で建築もしくはリフォームするケースが増えています。
その理由は、脱炭素社会実現の対策として、国内産木材を利用するよう政府が推奨しているためです。法令改正などもおこない、木造建築が促進されています。
非住宅木造建築は、木の建築資材を用いた住宅以外の建築物を指します。
技術の発展により、より大規模建築も可能になっています。
軽量性
木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて軽量なため、建築作業の負担が少ないというメリットがあります。 また、軽量であることから、基礎や地盤への負担も少なく、建設コストの削減効果も期待できます。
木目のデザイン性
木造建築は、木目や色合いなど、木本来の素材感を活かしたデザインが可能です。 目にも優しく、温かみのある空間を作り出せるでしょう。店舗や住宅などの内装やデザインとしても人気があります。
技術と工法の発展
鉄骨との組み合わせや、木の燃え代設計の技術などにより、耐火性能を持つ構造体として大型化や高層化が可能になりました。 木の燃え代設計とは、木造建築の準耐火構造の構造方法のひとつです。 木材の断面を大きくすることで、ゆっくりと燃える特性を利用しています。これは火災に対する安全性を確保するための手法です。
耐用年数
木造は、鉄骨や鉄筋コンクリートと比較すると耐用年数が短い建築物です。 一定のメンテナンスコストはかかりますが、たとえば1億円の建築物を購入する際、鉄骨や鉄筋コンクリートに比べて1年あたりの減価償却費用を多く計上できるのがメリットです。 また、適切なメンテナンスを行うことで、木造でもよい状態を何十年も保持できます。 近年では、防腐・防虫処理や耐火処理を施した木材も開発されているため、耐久性が向上しています。
無柱大空間を木造で実現する工法
無柱大空間とは、屋内中間柱を設置せず、広い空間を確保した建築空間です。
開放感があり、倉庫や工場、店舗など、さまざまな用途で求められます。
無柱大空間を実現できる工法はおもに以下のとおりです。
● トラス
● アーチ
● 大断面集成材
● 直交集成板(CLT)
● ATAハイブリッド構法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
トラス
トラス構造は、三角形の部材を組み合わせた構造です。 古来ヨーロッパで開発され、アメリカ、世界各国、そして日本にも伝わってきた構造方法としても知られており、軽量かつ強度の高い空間を作り出せます。 細い部材を組み合わせることで、長いスパンを支えることができる構造です。 1本の断面サイズの大きい鉄骨を使わずとも、トラスを組むことでより長いスパンを実現できます。 アリーナやホールといった建築物から橋梁まで、幅広く採用されています。
アーチ
アーチ構造は、曲線を描く構造物で開放的な空間を作り出せます。強度が高く大空間を作りやすいため、美術館や教会などの建築物によく用いられます。
大断面集成材
集成材は「ひき板又は小角材等をその繊維方向に互いにほぼ平行にして、厚さ、幅及び長さの方向に集成接着した一般材」をさします。 家具などに使われる造作用集成材と、建築で使用される構造用集成材に大別されます。 構造用集成材は、規格化された一般流通材と、物件ごと特注で製作される中・大断面集成材があります。 大断面集成材は大規模な木造建築で採用されています。
直交集成板(CLT)
直交集成板(CLT)は、複数の薄い板を繊維方向に直交させて接着した木材製品で、大断面集成材が柱や梁に使われるのに対し、CLTは壁や床、天井などに使用される木質パネルです。 断熱性や遮熱性、遮音性などの特性を有していますが、かかるコストは高めの傾向にあります。
ATAハイブリッド構法
ATAハイブリッド構法は、軸組工法・トラス構法・枠組壁工法を組み合わせた工法です。 柱・梁を軸組み、トラスを柱に接合させ、屋根(母屋・合板受け)と外壁(間柱)を下地に構造用合板で枠組パネル化させた、3つの工法長所を組み合わせることで大空間を作り出します。
ATAハイブリッド構法とは
ここでは、ATAハイブリッド構法について詳しく解説していきます。 ATAハイブリッド構法は、鉄骨造と同じレベルの中間柱の無い広い空間を、一般流通材で可能にした構法です。 大断面集成材を使用しなくても、大空間を実現できる木構造となっています。
20m以上のロングスパンが可能
ATAハイブリッド構法は株式会社ATAが開発した構法です。 張弦材と独自の金物によるトラス構法によりロングスパンを可能にしています。 倉庫や工場、商業施設などに適しており、自由なレイアウトができます。
一般流通材を使用
ATAハイブリッドトラス構法は、一般流通材で構成されています。 文字通り一般に流通させるために、規格化された木材です。 そのため、受注生産の大断面集成材に比べて、短納期でローコストに調達できます。
張弦材(タイバー)とクレビスで接続
木造建築の弱い部分を金属で補うことにより、強度をアップさせています。 プレカット工場で、各木材に接続金物を付けておくため、現場では組み立てとドリフトピンの打ち込みだけで完了します。 梁に木材ではなく梁弦材(タイバー)を使用することで、すっきりとしたデザインで開放感ある大空間を演出しています。
小中規模の平屋におすすめ
PREST WOODのご計画では、小中規模300~1,000㎡以内の規模が最適です。 平屋構造のため1階建てが基本になりますが、柱を設置すれば中2階などの対応が可能です。 軒高は6mが最適で、最高13mまでの天井高を実現できます。
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ATAハイブリッドトラス構法は、一般流通集成材と金物を組み合わせた画期的な木造建築構法です。
本記事では、近年注目が高まっている非住宅木造建築の特徴と、無柱大空間を実現する代表的な木造工法、さらにはATAハイブリッドトラス構法について詳しく解説しました。
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