事業用建築物こそ木造建築がおすすめ|工法・メリット・デメリットをわかりやすく解説

事業用建築物こそ木造建築がおすすめ|工法・メリット・デメリットをわかりやすく解説

近年、環境問題への関心の高まりとともに、建築業界においてもサステナビリティへの取り組みが求められています。 そんな中、注目を集めているのが木造建築です。特に事業用建築物において、木造建築が持つ魅力は多岐にわたります。

この記事では、事業用建築物を木造にするメリットとデメリットを解説します。 また、世界的に関心が高いカーボンニュートラルとの関係や木造建築に期待される役割についても紹介するので、事業用の倉庫や事務所を建築予定の方は、ぜひ参考にしてください。

事業用建築物とは

事業用建築物とは

「事業用建築物」とは、店舗や工場、倉庫などの事業目的で使用する物件のことを指します。 政府は、事業用建築物のなかでも低層小規模建築物を木造化するよう推進しています。 その対象となるのが以下の5種です。

● 店舗
● オフィス・事務所
● 施設
● 工場
● 倉庫

それぞれ詳しく見ていきましょう。

店舗

木材のぬくもりは、利用者に心地よさや安心感を与えます。 木材の調湿効果も快適な室内環境を保つのに役立つでしょう。 自然食品店やオーガニック製品を取り扱う店舗では、木造建築のナチュラルさや温かみが、ブランドイメージを向上させる効果も得られるでしょう。 木造が適している店舗には、以下のようなものがあります。

● 飲食店
● カフェ
● 薬局
● 葬儀場

プレカットされた木材を使用することで、コスト削減や工期短縮が見込めるでしょう。

オフィス・事務所

環境への配慮という観点から、木造でオフィスを建築するケースが増えています。 近年では、中高層ビルも木造で建築できるようになりました。 例えば野村不動産は、2023年に9階建ての木造ハイブリッド構造のオフィスビルを建築しています。 木の使用量を増やしたことで、従来の鉄筋コンクリートと比較して建築時の二酸化炭素排出量を125トン削減したそうです。 カーボンニュートラルを目指す企業努力として、オフィスの木造化は非常に注目されています。

参照:野村不動産|中高層オフィスビル主要構造部に「木造ハイブリッド構造」採用

施設

低層小規模建築物の木造化・木質化が推奨されている中、以下のような施設は木造化に適しています。

● 幼稚園
● 保育所
● 高齢者施設

温かみのある木を使ったデザインは、利用者にとっても安心感につながるでしょう。 また、木材は鉄筋コンクリートなどと比べてやわらかいため、万が一ぶつかった場合でも比較的ケガをしにくいというメリットもあります。 ほかにも調湿効果で、室内環境を快適に保てるのも木造建築のメリットでしょう。

工場

工場とは、製造活動や生産プロセスが行われる場所のことを指します。 工場は、製品を加工・生産するための施設という認識が主流ですが、仕分けや包装、梱包などの作業場としての意味合いもあるのです。 建築基準法では『工場=特殊建築物』として取り扱われています。 また、簡単な作業でも、生産活動を一定期間行えば「工場」に該当します。 取り扱う製品によっては鉄筋コンクリートのほうが望ましい場合もありますが、以下のような種類の工場は、木造建築も適しています。

● 食品加工
● 木工製品製造
● アパレル製品製造
● リサイクル工場

近年では、木造建築でも大スパン建築が可能な構法が採用されるようになったため、広い空間を確保できるようになりました。

倉庫

倉庫は製品や資材の保管・管理がおもな目的となる建築物です。 建築基準法第2条では『特殊建築物』として扱われています。 建築基準法第6条第1項では、用途に供する部分の床面積が100m²を超えるものと定義されており、次のような用途に適しています。

● 農業・林業・畜産業・漁業の産業機器を格納
● 小売業の商品倉庫
● 自営業の倉庫兼作業場

一般的には鉄骨で建築されるケースが多いのですが、近年では木造も増えています。

建築物の構造とは

建築物の構造とは

建築物は、おもに以下の3つのいずれかの構造で建築されています。

● 木造建築
● 鉄骨造
● 鉄筋コンクリート造

それぞれ詳しく見ていきましょう。

木造建築

木造建築とは、木材をおもな材料として建物を構成する構造です。 古くから世界中で利用されており、日本の伝統的な家屋も木造建築が主流です。 近年では、環境負荷が低い建築方法としても注目されています。

木材は鉄骨やコンクリートに比べて軽量なため、輸送や建築の負荷が少なく済むのも環境負荷が軽い理由のひとつです。 また、木材は加工がしやすいため、設計の自由度も高い建築方法といえます。 建築構造には、おもに木造軸組工法・木造枠組壁工法・木造ラーメン工法の3つがあります。 最近では、建築技術の向上やハイブリッドな建築法により、体育館や倉庫など大スパンの建築も可能になりました。

鉄骨造

鉄骨造は、鉄骨をおもな材料として建物を構成する構造です。 高層ビルや工場など、大規模な建築物に多く採用されています。 軽量鉄骨造は、比較的軽い鉄骨のため、おもに中小規模な建築物に、重量鉄骨は大型の鉄骨を用いており、高層ビルや工場などに採用されています。

強度が高いため、大スパンの空間を確保でき、広々とした空間設計も可能です。 一方で、初期費用が高く、反響が大きいため騒音対策が重要です。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて建物を構成する構造です。 マンションや高層ビルなど、大規模な建築物に多く採用されています。 柱と梁を一体化させることで大スパン空間も確保できます。

また、強度が強く耐久性にも優れており、適切にメンテナンスすれば、長期間の耐久性があります。 さらにコンクリートは密度の高い素材であるため、高い遮音性を実現できるのです。

ただし素材自体に重量があるため、建物の重さに耐えるための基礎工事を行う際の時間やコストがかかります。 また、型枠を組み、コンクリートを流し込んで固めるため、施工期間が長くなる傾向です。

木造建築とは

木造建築とは

近年では、事業用建築にも積極的に利用されている木造建築ですが、その工法について解説します。 一般的な木造建築工法は以下の3つです。

● 木造軸組(在来工法)
● 木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)
● 木造ラーメン工法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

木造軸組(在来工法)

日本で古くから伝わる伝統的な木造建築の工法です。 柱や梁などの軸組材で建物を支える構造で、設計の自由度が高いのがメリットです。 古くからある工法ですが、熟練した大工の減少や木材の価格高騰などにより、以前と比べてコスト面での優位性は低下しています。

木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)

北米で普及している木造建築の工法です。 日本では「ツーバイフォー工法」の名前で知られています。 2インチ×4インチ(38㎜×89㎜)の規格木材を組み合わせて壁や床を構成するのが特徴で、工場でプレカットされた部材を現場で組み立て、予め工場でパネルに組立てで現場へ搬入されます。 耐震性や気密性、断熱性に優れていることに加え、工期を短縮できるのがメリットです。 一方で、規格のサイズが決まっているため、設計の自由度が低いというデメリットがあります。

木造ラーメン工法

柱と梁を強固に接合することで建物全体を支える構造です。 大空間の建築物にも対応できるのが特徴で、耐震性にも優れています。 近年、注目を集めている工法ですが、他の工法と比べて、コストが高くなる傾向があります。

事業用建築物を木造建築にするメリット

事業用建築物を木造建築にするメリット

事業用建築物を木造にするメリットを5つにまとめました。

● 建築コストが安い
● 工期が短い
● 減価償却が早い
● 地球温暖化防止に貢献できる
● 環境配慮による企業イメージを向上できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

建設コストが安い

木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べて、建設コストが安い傾向です。 躯体が軽いため基礎にかける費用もほかの工法に比べてかかりません。 また、施工期間が短く済むため人件費も少なく済みます。

工期が短い

鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べて、工期が短い傾向です。 とくに、木造枠組壁工法は、工場で部材をプレカットして現場で組み立てるため、工期をさらに短縮できます。 また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて躯体全体が軽いため、大がかりな基礎が不要だったり、大きな重機が不要だったりと、建築負荷が少なくすみます。

減価償却が早い

減価償却とは、建物を取得したときから法定耐用年数まで、少しずつ費用として計上していく会計処理のことです。 住宅以外の用途の木造建築物の法定耐用年数は、15年です。 鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物よりも短いため、同じ建設費用であれば、1年間に経費計上できる額が多くなるため、節税効果があるといえます。

地球温暖化防止に貢献できる

木造建築は、鉄やコンクリートに比べ、材料製造から建設に至るまでに発生する二酸化炭素の排出量が少ないため、環境に優しい建築方法といわれています。 木として成長する過程において、光合成により二酸化炭素を吸収する効果があることも、地球温暖化防止効果があるといえます。 そのため、政府もカーボンニュートラル実現のために事業用建築物を木造にすることを推奨しているのです。

環境配慮による企業イメージを向上できる

事務所や店舗を木造にすると、環境問題に関心の高い顧客や取引先からの印象がプラスになるという効果があります。 近年、建築業界でもカーボンニュートラルのために、木造化が推進される傾向です。 事業用建築物を木造にすることは、環境問題への貢献を意味し、企業価値を高めることにも繋がります。

事業用建築物を木造建築にするデメリット

事業用建築物を木造建築にするデメリット

事業用建築物を木造建築にするデメリットは以下の5つです。

● 耐用年数が短い
● 経年劣化しやすい
● 火災リスクがある
● 防音性が低い
● シロアリなど害虫被害に弱い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

耐用年数が短い

木造建築物(住宅以外の用途)の法定耐用年数は15年であるのに対し、鉄筋コンクリート造(住宅以外の大規模な建物)の法定耐用年数は50年と、大きな開きがあります。 実際に、木材と鉄骨やコンクリートを比較すると、経年劣化による寿命は木材が短いのは認めざるを得ません。 ただし、適切な設計と施工、メンテナンスなどにより物理的な耐用年数を伸ばすことは可能です。

経年劣化しやすい

木材は、湿気や紫外線の影響を受けやすく、鉄やコンクリートに比べると経年劣化しやすいのがデメリットです。 雨漏りやシロアリ被害などを防ぐためには、定期的なメンテナンスが必須です。 定期的なメンテナンスが必要な点もデメリットといえます。

火災リスクがある

木材は可燃性のため、鉄骨や鉄筋コンクリートよりも火災リスクがあります。 ただし、建築基準法では、一定規模以上の建物には準耐火建築物にすることが義務付けられており、適切な設計と施工でリスクを抑えることは可能です。

防音性が低い

鉄筋コンクリート造と比べて、木造建築は防音性が低いというデメリットがあります。 しかし、防音材を使用するなどの適切な対策を施すことで、防音性を高めることも可能です。

シロアリなど害虫被害に弱い

木造建築はシロアリなどの害虫被害に弱い点もデメリットの一つです。 被害予防のためには、防腐効果を施した木材を使用する、定期的にシロアリ対策の薬剤を塗布するなどの対策が必要です。 また、建設後も定期的な薬剤の塗布や点検をする必要があります。

事業用木造建築が注目されている理由

事業用木造建築が注目されている理由

事業用木造建築が近年注目されている理由を3つ紹介します。

● カーボンニュートラルへの貢献
● 林業の活性化
● 木造建築の技術向上

それぞれ詳しく見ていきましょう。

耐用年数が短い

日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を宣言しています。 それを受けて、国内のさまざまな企業が事業活動で排出される温室効果ガスの削減に取り組むようになりました。 建築業界でも、鉄やコンクリートよりも環境負荷が低い建材として、木材や木造に注目が集まっています。

参照:経済産業省|2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

林業の活性化

日本は、国土の約7割を森林が占める世界有数の森林大国です。 戦後、積極的に行われた植林の結果、日本の森林は成熟期を迎えています。 ただ、近年は輸入木材に押されてしまい、国産木材の流通が減少していました。 今後、木造建築の需要が高まれば国内林業が活性化し、国産木材の利用の促進も期待できるでしょう。

木造建築の技術向上

木造建築の技術革新が進み、耐震性や耐火性などが以前と比べて向上しています。 CLT(直交集成板)や木質系耐力壁など、強度や耐火性に優れた新しい建材の開発が進んだのも大きな要因です。 その結果、今まで難しいと思われていた大スパンや中高層の建築物でも、木造で建設できるようになりました。

事業用木造建築ならPRESTWOODにおまかせください

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この記事では、事業用建築物で木造が注目されている理由について解説しました。 技術の発展と同時に、カーボンニュートラルの実現を目指す世界的な動向を受け、木材利用が活発化しているという背景もあります。 事業用建築物を木造にすれば、環境問題にコミットしているという企業イメージの向上の一助になるでしょう。

PRESTWOODは、倉庫や事務所など大スパンの木造建築を請け負う専門メーカーです。 ATAハイブリッド構法により、25m以上の大スパン空間が木造で実現できます。 体育館・倉庫・事務所・保育園など事業用に建築を検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

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