木造建築の魅力を最大限に引き出す「無柱空間」。 この構造は、柱のない広々とした空間を実現し、開放感と自由度の高いデザインを可能にします。 しかし、木造で大きな空間を支えるには、高度な技術と適切な材料が必要です。 本記事では、木造無柱空間の特徴や、その実現に必要な材料、構造について詳しく解説します。 具体的な事例も交えながらご紹介するので、これから事務所や店舗などの広い空間が特徴的な木造建築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。 無柱空間が持つ可能性と、その魅力についてお伝えします。
無柱空間とは
最初に無柱空間について、特徴や具体的な用途について解説します。
● 無柱空間の特徴
● 無柱空間の大スパンとは
● 無柱空間の用途
それぞれ詳しく見ていきましょう。
無柱空間の特徴
無柱空間とは、部屋の内部に柱のない空間のことを指し、大スパン構造ともいわれています。
スパンとは柱と柱の距離のことを指し、中間柱がない体育館のような広い空間を大スパンもしくは無柱空間ともいわれます。
無柱空間のメリットは以下のとおりです。
● 柱や壁がないため自由にレイアウト変更できる
● デザインの自由度が高い
● 大きな窓を取れば空間全体に自然光をたっぷり取り込める
以上のように、無柱空間にはメリットがあります。
無柱空間の大スパンとは
これまでは10mを超えるスパンは、無柱では難しいとされていました。 しかし、構造技術の革新や材料加工などの技術の進化により、大スパンの建築が可能となったのです。 また、政府が木材利用を促進し、法規制が改正されたのも大きいといえます。このような背景もあり、中規模以上の建物で大スパンを取り入れた事例が増えています。
無柱空間の用途
無柱空間の大スパン木造建築を活かせる用途として以下のようなものがあります。
● 体育館
● 倉庫
● 工場
● 幼稚園や保育園の園舎
● オフィス
● ホール
● 店舗
国の施策として公共施設の木造化が進んでおり、図書館・美術館・役所など多くの人が集まる場所の木造化が進んでいます。
商業施設としてイベントスペース・ショールームなどにも便利です。
木造無柱大空間に使用する木材
木造無柱大空間に使用する木材について、代表的な2種類を紹介します。
● 大断面集成材
● CLT
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大断面集成材
大断面集成材とは、断面寸法の木材を接着剤で張り合わせ圧縮したものです。 強度は無垢材の約1.5倍あり、柱や梁の構造材として使用されます。 防火性・断熱性・吸湿性にも優れており、吸音効果もあるため、ホールなどにも適しています。
CLT
CLTとは、Cross Laminated Timberの略称で、ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように張り合わせられている木質系材料です。 JAS(日本農林規格)では直交集成板とよばれています。 マンションや商業施設の壁や床として普及しているだけでなく、中高層建築物にも使用されています。 集成材との違いは、接着方向です。 集成材は繊維が平行になるように接着するのに対し、CLTでは繊維が直角(クロス)で貼り合わせています。 安定性が高く、断熱性にも優れています。CLTも同じく工場で製造されています。
木造無柱大空間を可能にする構造
木造無柱空間を可能にするには、建材の選択も重要です。
代表的な無柱大空間を可能にする代表的な構造を3つ紹介します。
● トラス構造
● アーチ構造
● ラーメン構造
それぞれ詳しく見ていきましょう。
トラス構造
トラス構造は、部材をピン接合した三角形を基本素材にしています。 それを組み合わせて、屋根を支えます。 鋼鉄製のものは、東京タワー・スカイツリー・明石海峡大橋など大規模な建造物が代表的です。 木造の場合は、部材の断面を抑えつつ屋根や床を支えるのに適しています。 荷重を分散できるうえ、軽くて丈夫という特徴があります。
アーチ構造
アーチ構造は、部材を山なりのアーチ状にして空間を作り、屋根を支える構造です。 アーチ構造の代表的な木造建築物が、山口県の錦帯橋です。 桁(けた)、楔(くさび)、梁(はり)、棟木(むなぎ)などの部材を巧みに組み合わせることで、縦方向の荷重に強いアーチ型を完成させます。 現代においては、体育館やホールなど、ドーム型の大空間を作るのに適しています。
ラーメン構造
ラーメン構造は、柱と梁からできた構造体の接合部を溶接などで一体化させるように接合(剛接合)して建物全体を支える構造です。 柱と梁で枠組みを作るため、ドイツ語で「枠」や「額縁」を意味する「ラーメン(Rahmen)」の名がついています。 全方位にスパンいっぱいの開口が作れるうえ、デザインの自由度が高い意匠性のある空間設計が可能です。
木造建築の無柱空間に関するよくある質問
木造建築の無柱空間に関する、よくある質問を集めました。
● 無柱大スパン構造の施行例は?
● 大スパンの意味は?
● 集成材と無垢材の違いは?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
無柱大スパン構造の施工例は?
無柱大スパンは、開放感とデザイン性の高さから注目を集めており、商業施設や公共施設など幅広く採用されています。
おもな施工例として以下のようなものがあります。
● ショールーム
● レストランイベントスペース
● ホール
● 店舗
● 体育館
● 図書館
● 美術館
● 倉庫・工場
● 幼稚園や保育園の園舎
● オフィス
技術の発展により、木造でも10m以上の大スパン設計が可能となっています。
大スパンの意味は?
スパンとは、建物の柱と柱の間の距離のことを指し、10m以上を大スパンと表現しています。 スパンは、英語で「広がり」「範囲」などを意味しており、建築においては柱と柱の間の距離や範囲を示すときに使います。 従来の建築構法では、大スパンの設計は難しいとされていましたが、強度が高く大きな荷重に耐えられる材料や構造を採用することで、実現できるようになりました。
集成材と無垢材の違いは?
無垢材は、天然の材木をそのまま構造材や板状に加工したものです。
自然の風合いで、木のぬくもりや木目が特徴的です。
また、木の香りの効果や空気中の湿度調節効果などが見込めます。主に家具や床材などに使用します。
集成材は、ひき板または小角材などを乾燥させ接着してつくられた木材です。
接着方向には、縦に平行にする方法と繊維方向の縦横を直角に接着したものの2種類です。
構造用集成材は、JASの強度性能が規定されており、無垢材に比べて品質が安定しています。
無柱大空間の木造建築なら「PREST WOOD」にお任せください
無柱大空間は、開放感に満ちたオフィスやホールなどに適しています。
店舗や倉庫、工場などでも利用されています。
今までは、木造建築で無柱大スパンを建築するのは難しいとされていました。
それが構法や木材加工の技術が向上したことで実現可能となったのです。
PRESTWOODは、無柱大空間を実現できる木造建設に強みがあります。
中間柱がなくても屋根を支える技術があるため、木造でも鉄骨造のような大スパンを実現できます。
新しくオフィスや倉庫を建築する、もしくは建て替えを検討の方は、ぜひお問い合わせください。
無料で資料もお渡ししております。
お問い合わせはこちらから