木造建築の基礎工事について解説|種類・工事の流れ・寿命の目安などを紹介

木造建築の基礎工事について解説|種類・工事の流れ・寿命の目安などを紹介

木造建築を検討する上で、基礎工事は非常に重要な工程です。 基礎工事はいくつか種類があり、事前に特性や施工の流れを理解しておくことで、自社・自宅などの建築にどの工事を採用するとよいのか検討することが可能です。

そこで本記事では、木造建築の基礎工事について、その重要性から工程、種類をわかりやすく解説します。 さらに、基礎工事の際に注意すべきポイントや、耐久性を保つための基礎知識もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

木造建築における基礎工事とは

木造建築における基礎工事とは

木造建築における基礎工事について、以下のとおり詳しく解説します。

● 地面と建物のつなぎ部分
● 基礎工事が重要な理由

それぞれ詳しく見ていきましょう。

地面と建物のつなぎ部分

建築物に作用する荷重および外力を安全に地盤に伝えるために設けられる、コンクリート部分などの下部構造の総称を基礎と呼びます。 基礎工事は、建物を支え、地震や台風などの外力から守る、いわば建物の土台となる重要な部分です。 基礎工事がしっかりとしていなければ、建物が傾いたり、沈下を起こしたりするなど、建物の安全性や寿命に大きな影響をおよぼします。

基礎の構成要素として以下のようなものがあります。

● 底盤(ていばん):底の部分
● たちあがり:垂直面
● 地中梁(ちちゅうばり):建物と基礎をつなぐ部分

地面は、場所や地質によって強度が異なり、また、雨や風などの影響を受けやすいものです。 基礎工事は、このような地面の状況を考慮し、建物を安定して支えるための重要な役割を担っています。

基礎工事が重要な理由

基礎工事が適切に行われなかった場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

● 建物の傾き
● 床の傾斜
● 壁のひび割れ
● ドアや窓の開閉不良

逆に基礎がしっかりしていると、以下のような効果を期待できます。

● 建物の安定性の確保:不同沈下や傾くのを防ぐ
● 耐震性:地震や風などの外力への対策
● 耐久性:ひずみを最小限に抑える、耐久性を保つ

不同沈下とは、建物の一部分だけ沈み傾いてしまう状態です。 建物をしっかり支え、地震や台風などの外力から守ってくれる基礎の役割は重要で、建物の耐久性に大きく影響を及ぼしています。

基礎工事の種類

基礎工事の種類

基礎工事の種類は、大きく分けて杭基礎と直接基礎の2種類があります。
ここでは、以下の基礎について解説します。

● 杭基礎
● ベタ基礎
● 布基礎
● 独立基礎

それぞれ順に見ていきましょう。

基礎工事は大きく分けて2種類ある

基礎工事は大きく分けて杭基礎と直接基礎の2種類があります。 その特徴を表にまとめました。

特徴 種類
杭基礎 軟弱な地盤で採用
直接地面に杭を差し込む
・支持杭
・摩擦杭
直接基礎 硬くしっかりした地盤に採用 ・ベタ基礎:床下前面をコンクリートで覆う
・布基礎:地面に基礎を直接設置
・独立基礎:柱の下だけ基礎を設置

一般住宅で使用される基礎は「ベタ基礎」と「布基礎」を採用されることが多く、とくに「ベタ基礎」の採用率が高めです。 一方、非住宅の場合は、独立基礎が多いといった特徴があります。 とくに地盤の強度が高い土地の場合、独立基礎を利用しているケースが多く見受けられます。

基礎工事の主な種類

基礎工事の種類をさらに詳しく見ていきましょう。

杭基礎

杭基礎は、地盤が弱い地域、地震の際に液状化が懸念される地域で有効です。 支持層と呼ばれる硬い地盤まで杭を打ち込み、杭自体の摩擦力で建物全体の荷重を支えます。 ただし、他の基礎に比べてコストが高めです。

ベタ基礎

ベタ基礎は、立ち上がっている部分と床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで覆い、地盤全体で建物を支える構造です。 そのため、不同沈下にも強いというメリットがあります。 それ以外にも、以下のような特徴があります。

● 耐震性が高い
● 湿気が建物に伝わりにくい
● 木材が腐食しにくい
● 白アリによる被害を防ぎやすい

ただし、他の基礎に比べてコストが非常に高くなる傾向があります。

布基礎

布基礎は、建物の下に帯状にコンクリートを打設する基礎です。 比較的コストが安く、施工期間も短いという特徴があります。 点で支える構造で、立ち上がり部分以外は地面の上に防水シートを敷き、その上にコンクリートを施設します。

コンクリートの厚さは、ベタ基礎が15cmほどなのに対して、布基礎は5~6cmのため、コストを抑えやすいといったメリットがあります。 ただし、地盤が軟弱な場合は、不同沈下のリスクが高くなるため、注意が必要です。 また、湿気やシロアリの被害をベタ基礎より受けやすいのも注意点です。

独立基礎

独立基礎は、建物を支える柱や梁の下に、それぞれ独立した基礎を設ける方法です。 地盤が異なる場合や、建物の形状が複雑な場合に適しています。 加重のあまりかからない柱や、地盤が強固な場合に用いられる方法です。 一般住宅では、傾斜地やポーチ、デッキなど、部分的な構造に用いられることが多く、建物全体を支える基礎としては、あまり採用されません。

木造建築の基礎工事の流れ

木造建築の基礎工事の流れ

木造建築の基礎工事は、一般的に以下の工程で進められます。

1.測量・地盤調査・水盛遣り方
2.根切り・掘削
3.基礎砕石敷き
4.捨てコンクリート
5.基礎配筋・型枠設置
6.基礎コンクリート打設・養生
7.型枠外し・仕上

順に見ていきましょう。

1.測量・地盤調査・水盛遣り方

最初に建物を建てる位置や高さを正確に測量します。 その後、地盤調査を行い、地盤の強度や地質などを調べます。 地盤調査は、法律で義務付けられており、地耐力を調べることが建築基準法で求められています。

水盛遣り方(みずもりやりかた)は、工事を始める前に建物の位置や高さを出す作業です。 敷地に対して建築物の正確な位置を出すための重要な作業です。

2.根切り・掘削

建物の設計図に基づいて、基礎を作るために必要な深さまで地面を掘削します。 この工程を「根切り」もしくは「堀削」と呼びます。 根切りの目的は、一定の深さまで地面を掘り、基礎コンクリートを打てる状態にすることです。

3.基礎砕石敷き

建物の基礎部分に砕石を敷き詰める工事です。 砕石とは、砂利のような小さな石で、掘削した地面に敷き詰めて転圧し、地盤を固めます。 おもに地盤を強固にするのが目的です。

4.捨てコンクリート

基礎工事の前に地面や基礎下や地中梁の下に打つコンクリートのことを指します。 建物の強度には直接影響しません。 正確な位置の把握や高さの基準決め、型枠・配筋の下地の固定などが目的です。 厚さは通常50mm程度で、捨てコンクリートを設置したあと、墨出しを行います。 墨出しとは、施工図の情報や基準線を書きだす作業のことです。 墨の位置に合わせて鉄筋を配置していきます。

5.基礎配筋・型枠設置

捨てコンクリートの上に、鉄筋を格子状に組んでいきます。 鉄筋を組むことで、基礎の強度を高めるのです。 鉄筋の太さや間隔は、建物の大きさや構造によって異なります。 次に流し込むコンクリートのために、型枠を組み立てていきます。

6.基礎コンクリート打設・養生

設置した型枠の中に、コンクリートを流し込みます。 コンクリートは、均一に流し込まれるように、バイブレーターと呼ばれる工具を使って締め固めます。 コンクリートを打設したあとは、乾燥・硬化の期間(養生)が必要です。 養生期間は、季節や気温によって異なりますが、一般的には1週間~2週間程度です。

7.型枠外し・仕上

コンクリートが十分に硬化したら、型枠を解体します。 コンクリートに初期の不良が発生していないか、ひび割れや仕上がりの状態を確認します。 これで、基礎工事は完了です。

木造建築の基礎工事の特徴

木造建築の基礎工事の特徴

木造建築の基礎工事の特徴を以下の2点にまとめました。

● コストの抑制
● 工期の短縮

それぞれ詳しく見ていきましょう。

コストの抑制

木造建築は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物に比べ、基礎工事に必要な材料費や人件費を抑えることができます。 理由は、上に乗る構造物が鉄骨や鉄筋と比べて軽く、基礎への負担が少なく済むためです。 必要な材料や人員も最小限で済むため、コストを抑えることができるでしょう。

工期の短縮

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物に比べて、木造建築の基礎工事は短期間で完了するというメリットがあります。 これは、木造建築の基礎工事が、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物に比べて大規模な重機や設備を必要としないためです。 鉄筋コンクリート造と比べてシンプルな構造のケースが多いため、工数を削減できるというメリットもあります。

基礎の寿命目安と耐久性を高めるポイント

基礎の寿命目安と耐久性を高めるポイント

基礎には寿命がありますが、耐久性を保つための工夫もあります。 ここでは、基礎の寿命の目安とともに、耐久性を維持するための方法について紹介します。

基礎の寿命の目安

基礎の寿命は、一般的に30~40年程度といわれています。 ただ、これはあくまで目安であり、建物の構造や規模、設置環境、メンテナンス状況によって大きく異なります。

一般的な基礎の寿命は、鉄筋コンクリートの寿命とほぼイコールと考えるとよいでしょう。 コンクリートの中性化が進み、鉄筋が約20%錆びた時点が寿命の目安です。錆が進むと鉄筋は膨張するため、基礎コンクリートの表面にひび割れが起きてしまいます。 そのひび割れから空気が入ることで、さらに鉄筋の錆びが進んでしまうのです。

錆が進行して膨張が続くと、最終的にコンクリートの外部へ鉄筋が露出(爆裂)するような事態になる場合もあるため注意が必要です。 こうなってしまうと、耐震性は保証できず、基礎としての役割を果たせなくなってしまいます。 そのため、適切な設計・施工を行い、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。

基礎補強工事で耐久性を保つ

既存の木造建築の基礎の耐久性に不安がある場合は、基礎補強工事を行うことで一定の耐久性を保ことができます。 基礎補強工事には、以下のような方法があります。

● Uカットシール工法
● ビックス工法
● アラミド繊維シート工法
● 基礎の増し打ち工法
● 布基礎からベタ基礎にする補強工事工法

ひび割れを放置すると基礎の劣化の進行が早まり、白アリによる被害のリスクも増します。 ひび割れを埋める応急処置的な方法から、基礎の増し打ちや変更など、状態によってやるべき補強対策は変化します。 どの方法が適切かは、建物の状況や予算などを考慮したうえで判断しましょう。

事業用木造建築はPRESTWOODにお任せください

事業用木造建築はPRESTWOODにお任せください

今回は、木造建築の基礎工事について解説しました。 基礎工事は、建物を支え、地震や台風などの外力から守る、非常に重要な工事です。 基礎工事が適切に行われなければ、建物の安全性や寿命に大きな影響をおよぼします。 そのため、基礎工事について正しく理解しておく必要があるでしょう。

PRESTWOODでは、木造建築、特に事業用建築に特化したATAハイブリッド構法を用い、高品質な建築物を提供しています。 基礎工事についても、豊富な経験と実績を持つ専門スタッフが、お客様のご要望に最適な設計・施工をご提案いたします。 事業用木造建築をご検討の際は、ぜひPRESTWOODにご相談ください。

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