木造建築の保育園が増えている?関連する法令や規制を解説

木造建築の保育園が増えている?関連する法令や規制を解説

近年、木造建築の保育園が増えています。その理由として、木造ならではの温かみのある空間や環境に注目が集まっていることが挙げられます。 また、建築工法の発展により、遊び場やホールなどの広い空間を木造建築で仕上げるのも可能になりました。 この記事では、木造建築の保育園が増えている背景や、木造を選択するメリット、そして木造保育園建築に際してチェックすべき法令や規制について、より詳細な情報を提供します。 保育園のホールや遊び場を木造で建築しようか検討されている方は、参考にしてください。

木造を選択するメリット

木造を選択するメリット

店舗を木造で建築すると、以下のようなメリットがあります。

● 工期の短さ
● 快適性
● 行政の木化推奨

それぞれ詳しく見ていきましょう。

工期の短さ

木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて基礎工事を少規模に設計できるため、工期が短い傾向にあります。 そのため、基礎工事に必要な鉄筋やコンクリートの材料が少なく、基礎工事の費用も抑えられます。

快適性

木造の室内は、あたたかみやふんわりとした雰囲気があり、快適な空間を提供します。 音響効果にも優れており、園児たちの声が反響しすぎず、落ち着きのある空間を実現してくれるでしょう。 また、木の持つ保温性が急激な温度変化から幼児を守るだけでなく、結露しにくい、カビやダニの発生を抑えられるのもメリットです。 さらに、木の香りによるフィトンチッド効果でストレス緩和も期待できます。

行政の木化推奨

近年、政府は木造建築の推進に力を入れています。 これは、木材の利用促進による国内林業の活性化や、CO2排出量の削減などを目的とするためです。 具体的には、木造建築の普及目標を掲げたり、木造建築に関する補助金制度を設けたりなどが挙げられます。 そのための法改正も進んでおり、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和3年法律第77号)や「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(通称:都市(まち)の木造化推進法)により、法律の対象が公共建築物から建築物一般に拡大しました。 建築物における木材の利用の推進に向けた措置の実地状況について 画像引用:林野庁|建築物における木材の利用の推進に向けた措置の実地状況について

その結果、国が整備する公共建築物の木造化率は「積極的な木造化を推進する対象となる公共建築物」において100%達成されています(令和4年度に整備された低層の公共建築物が対象)。 さらに中高層木造建築物の床面積も右肩上がりの状況です。 地方公共団体においても、全ての都道府県と1,634市町村が木材の利用の促進に関する方針を策定しており、木造建築を推奨する流れがあります。

木造保育園建築する際にチェックすべき法や条例

木造保育園建築する際にチェックすべき法や条例

木造保育園建築を計画する際には、建築基準法以外にも、児童福祉施設に関する法令や条例を遵守する必要があります。 以下で、各法令や条例の概要と、木造保育園建築に関係する具体的な内容について紹介しましょう。

建築基準法(児童福祉施設など)

建築基準法は、建築物の安全性を確保するために制定された法律です。 保育園は社会福祉施設に該当し、病院・ホテル・共同住宅等と同じ区分となっています。 木造保育園建築においては、原則として耐火建築物または準耐火建築物である必要があります。 建築法第27条にあるように、保育施設を3階以上の階に設ける場合は耐火建築物、2階の部分の保育施設の用途に供する部分の床面積の合計が300㎡以上の場合は、耐火建築物又は準耐火建築物とします。

さらに以下、建築法で定められた基準を遵守しましょう。

● 階段、踊り場の寸法(23条)
● 採光のための窓や開口部(28条)
● 廊下の幅(119条)
● 直通会談までの歩行距離(120条)
● 2つ以上の直通会談を設ける場合(121条)
● 排煙設備の設置(126条の2)
● 非常用の証明装置の設置(126条の4)
● 内装制限(台128条の4・5)

参考:建築基準法

保育園は厚生労働省管轄

幼稚園・保育園・認定こども園は、どれも未就学児が日中過ごす施設ですが、管轄省庁が違います。それぞれ次のとおりです。

● 幼稚園:文部科学省管轄(3歳以上就学前が対象の教育施設)
● 保育園:厚生労働省管轄(0歳から就学前が対象の福祉施設)
● 認定こども園:内閣府が管轄(0歳から就学前が対象の施設)

保育園は乳児が通うため、幼稚園よりも要件が厳しくなっています。
管轄する厚生労働省が定めた「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」によれば以下のとおりです。

● 保育室・遊戯室・乳児室・ほふく室が必須
● 保育室または遊戯室の面積は園児一人当たり1.98㎡以上を確保
● 園庭を設置する(屋上や代替え場所も可)
● 耐火建築物である
● トイレと水飲み場を設置
● 非常用階段や防火戸などを設置
● 調理室や遊戯室を設置

建築に関して細かい条件や広さが設定されているため、詳しい業者に依頼するとよいでしょう。

福祉のまちづくり条例

高齢者や障害者を含めたすべての人が安全で快適に暮らせるまちづくりを推進するための法律として「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)が施行され、児童福祉施設もその対象となっています。 地方自治体が制定する条例(福祉のまちづくり条例)でも、安全、安心、快適に暮らせるよう施設整備に関する様々な規定が定められています。 高さ制限、内装制限など細かな規制があるので、保育園建設の際には、地方自治体の条例を遵守しましょう。

木造保育園建設に関する規制

木造保育園建設に関する規制

木造保育園を建築する際、さまざまな規制を遵守する必要があります。

● 高さ
● 耐火要件
● 採光性
● 階段
● 間仕切壁

以上について各規制にて解説します。

高さ制限

従来の建築基準法では、高さ13m以上もしくは軒高9mを超える建築物は耐火建築物にする必要がありました。 それが法改正により軒高の制限が解除され、耐火建築物が必須となる要件が「高さ16m超」に緩和されています。

耐火要件

本文2木造の保育園は、建築基準法以外にも「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」が定められています。 さらに都道府県後音の条例もあり、保育園の防・耐火上条の要件が以下のように定められています。

階数制限なし 耐火建築物(保育室を3階以上に設ける) 耐火建築物
地階を除く階数が2以上の建築物 準耐火建築物 特定準耐火建築物
平屋 その他の建築物 ①特定準耐火建築物
②その他の建築物
高さ 16m以下 16m超
延べ床面積 300㎡以下 300㎡超

保育室を何階分設けるかによって、耐火性の要求水準が変わるので注意しましょう。

採光性

建築基準法28条1項では、住宅、学校、病院、福祉施設などの居室に「採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、 五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない」としています。

具体的には以下のような要件があります。

● 保育室の採光に有効な窓の面積 ≧ 保育室の床面積 × 1/7
● 幼稚園は ≧ 1/5
● 談話室・娯楽室は ≧ 1/10
参照:建築基準法28条1項

建物内での安全や健康のため、採光性の確保は重要で、建築基準法により細かく規制されています。

階段

建築基準法では、一定の用途・規模の建物に対して「2つ以上の直通階段」を設置しなければならないという規定があります。 保育所などの「児童福祉施設等」は、その要件に当てはまります。

具体的には「その階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ50㎡を超えるもの」であれば、2つ以上の直通階段を設ける必要があるとのことです。 保育園児が火災時に逃げ遅れないよう、避難時間を短縮するための法律でもあります。

間仕切壁

保育所をはじめとする児童福祉施設には「防火上主要な間仕切壁」の設置も必要です。 「防火上主要な間仕切壁」とは、学校・保育園・就寝をともなう施設などの建物で、火災時に避難経路を確保するために重要となる壁を指します。(建築基準法の施行令114条)

間仕切壁の設置に関しては、以下の条件があります。

● 準耐火構造(または耐火構造)で造ること
● 小屋裏または天井裏まで到達させること

免除のためには以下の条件に当てはまる必要があります。

【免除①】スプリンクラー設備の設置部分
【免除②】小規模な建築物で避難が容易な建築物

ほかにも、
● 保育室が3室以下かつ100㎡以内となるよう配置
● 居室と避難経路を区画するように配置
● 火気使用室とその他の部分を区画するように配置

などの細かい要件があります。

保育園の建設には「PREST WOOD」をご検討ください

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