木造オフィスが増えている?背景と建築メリットを解説

木造オフィスが増えている?背景と建築メリットを解説

近年、オフィスや事務所の内装の木質化や木造構造を採用するケースが増えています。 一般的に多い鉄筋コンクリートではなく、木造建築を選ぶのはなぜでしょうか。 この記事では、その背景について解説します。 また木造オフィスを選択した場合のメリットや建築の際の注意点についても紹介するので、これからオフィスを新しく建てようと検討している方は、ぜひ参考にしてください。

木造オフィス増加の背景

木造オフィス増加の背景

木造オフィスが増加している背景について、以下の4点が挙げられます。

● 地球温暖化対策
● 法律の整備
● 木造建築技術の発展
● 木造化と木質化の違い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

地球温暖化対策

近年、地球温暖化が深刻化している背景から、再生可能で炭素貯蔵できる木材の活用が注目されています。 木材は、適切な森林管理の下で伐採と植林を繰り返すことで再生可能な資源のため、有効活用することによって持続可能な社会の実現に貢献できます。

また、木材製品として利用することで、長期間にわたって炭素を貯蔵し、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制する炭素貯留の効果があります。 加えて、製造過程でのエネルギー消耗が少ないのも注目の大きな理由です。 鉄筋コンクリートと比較すると、住宅一戸あたりの炭素排出量は、木造5.1トンに対して鉄筋コンクリートは21.8トンと4.28倍となっています。

一戸あたりの炭素貯蔵量と材料製造時の炭素放出量 画像引用:林野庁

法律の整備

政府の方針として「ウッドチェンジ」を合言葉に、建築物における木材利用を促進する取り組みがあります。おもな活動内容は以下です。

● 木造建築の普及促進
● 国産木材の利用促進
● 木材関連産業の活性化
● 消費者への木材利用啓蒙

これらは持続可能な社会の実現を目指し、日本の森林を守り育てる活動です。併せて以下のような法律整備も進めています。

2010年:「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」制定
2021年:「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」施行
2022年:「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)及び優良木造建築物等整備推進事業 募集開始」

法整備により、今までは公共施設中心に取り組んでいた建物の木造化が一般企業への取り組み促進を促すものと変化してきました。 国土交通省や経済産業省も取り組みを後押ししており、各都道府県および市町村と事業者とが次々に協定を締結しています。

木造建築技術の発展

木材を使う技術が進歩した結果、地震や火事にも強い丈夫な建物をつくりやすくなりました。今では、18階建ての高層ビルも木造で建築可能となっています。 木造高層オフィスの事例として以下の例を紹介します。

ビル名特徴
木材会館(東京都江東区) 地上7階・地下1階
ヒノキを中心に1,000㎡以上の国際木材を使用
すべて規格材で伝統工法の技術を組み合わせて建設
Port Plus(神奈川県横浜市) 大林組が設計・施工
日本初の高層純木造耐火建築物
地上11階・地下1階(最高高さ44.1m)
1,990㎡の木材を使用
野村不動産溜池山王ビル(東京都港区) 地上9階
木質建築部材と鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造
令和3年度国土交通省のサステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択
Sreed EBISU + t(東京都渋谷区) サッポロ不動産開発
9階建て
鉄骨造の柱梁フレームの中に木造の方杖架構を挿入

鉄骨と木造を組み合わせたハイブリッド構造ではありますが、木材使用量を増やすことで、建設時の二酸化炭素排出量の削減に貢献しています。

木造化と木質化の違い

木造化と似た言葉で「木質化」があります。 その違いは、以下のとおりです。

木造化:建物の主要な構造体である柱や梁、桁などを木材で構成すること
木質化:内装や外装を木材で仕上げること

それぞれの特徴を表にまとめました。

項目木造化木質化
構造体木材鉄筋コンクリート造、鉄骨造など
内装・外装自由木材
メリット軽量、温かみ、環境負荷低減温かみ、種類豊富、強度
デメリットコスト高、施工難易高構造体の自由度が低い
用途住宅、店舗、倉庫、オフィス、体育館などオフィス、ホテル、レストランなど

政府としては、木材の使用量が増えるのであれば、木造化・木質化のどちらでも歓迎しています。 ただし、木造化のほうが木材の使用量は多く、カーボンニュートラルへの貢献度は高いといえるでしょう。

木造オフィス建築のメリット

木造オフィス建築のメリット

木造オフィスを建築するメリットについて、以下の4点にまとめました。

● 環境負荷の低減
● 温かみのある空間
● デザイン性の高さ
● 企業ブランディング

それぞれ詳しく見ていきましょう。

環境負荷の低減

木材は、製造・加工において、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて二酸化炭素排出量が少なく、カーボンニュートラルや脱酸素社会に貢献するといわれています。 カーボンニュートラルとは、ライフサイクルの中で二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロにするといった考え方です。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造は木造と比べ、製造・運搬・施工時のエネルギー消費量が多くなります。 一方、木材の原料となる森林は、成長過程で光合成により二酸化炭素を吸収します。 しかも木材として利用しても、取り入れた二酸化炭素はそのままです。 木材を育て、利用することで、二酸化炭素の増加を防ぎ環境負荷を低減できると考えられています。

温かみのある空間

木目や木の香りなどは、自然素材ならではの温かみを感じられます。 湿度調整効果や断熱効果にも優れているため、リラックスしやすい職場環境を提供してくれるでしょう。 木の香りは、ストレス軽減効果もあり、集中力アップや仕事効率アップにも効果的です。

デザイン性の高さ

鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ、木造は軽量で加工しやすいため、デザイン面での柔軟性があります。 例えば、曲線的な梁や柱、複雑な形状の空間なども可能です。 木材の持つ温かみや自然な質感を活かしつつ、洗練された空間を演出するのにも効果的でしょう。 カントリー風からモダンまで、イメージや目的に合わせたデザインが可能です。

企業ブランディング

企業にとって木造建築に取り組むことは、環境への意識の高さをアピールするのにも効果的です。 近年ではSDGsへの取り組みも重要視されていることから、木造オフィスは企業イメージの向上にもつながるでしょう。 取引先や関連企業だけでなく、求職者に向けたアピールにもメリットがあります。

木造オフィスを建築する際の法規

木造オフィスを建築する際の法規

木造オフィスを建築する際に関係する法規について解説します。

● 耐火要件
● 内装制限
● 立地制限

それぞれ詳しく見ていきましょう。

耐火要件

大規模木造オフィスの場合、耐火上の要件があります。 今まで、延べ床面積が3,000㎡を超える大規模木造建築は、主要部を耐火構造にする必要がありました。 それだと木の部分を石膏ボードなどの不燃材料で被覆しなければならず、木の良さを実感しづらいといった問題もあったのです。

それが法改正により、構造部の木材をそのまま見せる設計も可能となりました。 中層建築物に適用する耐火性能基準を合理化して、条件が変わったためです。

『建築物基準法改正(令和4年6月17日公布)に伴う、中大規模建築物の木造化を促進する防火規定の合理化』をもとに、耐火要件について表にまとめました。

階数条件措置
2階建て以下 30分の加熱に耐える措置
または
1時間準耐火構造
強度や耐久性に関して安全が確認された集成材や製材などを用いて、柱および梁について、通常の火災に対して建築物全体が倒壊する恐れのないことを確かめる
3階建て以下主要構造部を1時間準耐火構造とする建物の周囲に幅員3m以上の通路などの十分な空地を設ける(条件あり)
4階建て以下主要構造部を1時間の耐火構造とする防火区画などの追加措置
5階以上14階以下最大2時間の耐火性能(5階以上9階以下の建築物の最下層は90分の耐火性能とする)耐火建築物もしくは火災時倒壊防止建築物にする

参照:国土交通省

ほかにもスプリンクラーの設置や天井の仕上げを準不燃材料にするなどの条件があります。

内装制限

木造の事務所の内装には、建築基準法に基づき準不燃材料、難燃材料等の使用が必要などの制限がかかる場合があります。 その条件が以下のとおりです。

階数3以上延べ面積500㎡を超えるもの
階数2延べ面積1,000㎡を超えるもの
階数1延べ面積3,000㎡を超えるもの

火気使用室、地下階、無窓居室、避難経路などは、不燃材料もしくは準不燃材料を使用します。 内装制限の代替措置として、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備などで自動式のものおよび建築基準法施行令第126条の3の規定に適合する排煙設備を設けた部分については適用しません。

立地制限

地域によっては、建築物の用途制限があります。事務所・オフィスの場合は以下のような制限があります。

延べ床面積制限される地域
150㎡以下 第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
田園住居専用地域
※第二種中高層住居専用地域では2階以下
150~500㎡ 同上
500~1,500㎡ 同上
1,500~3,000㎡ 第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
田園住居専用地域
3,000㎡以上 第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
田園住居専用地域

参照:東京都都市整備局

例外として、特別用途地区内では、建築物制限を強化または緩和できます。 緩和には国土交通大臣の承認が必要です。(建築基準法第49条、第36条の2) また特定行政庁の許可を得られれば、市街地環境を害する恐れがないと認められた場合に限って立地を認められます。

木造オフィスに関する、よくある質問

木造オフィスに関する、よくある質問

木造オフィスに関する、よくある質問について集めました。

● 木造建築のデメリットは?
● 世界一高い木造オフィスは?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

木造建築のデメリットは?

外壁面に木をそのまま使用した場合、雨水による劣化の懸念があります。 防水メンテナンスを定期的にする必要があり、手間と費用がかかります。 また、他の構造に比べ、防耐火の条件が高い点もデメリットです。

世界一高い木造オフィスは?

世界で最も高い木造タワーとして公式認定されているのは、アメリカのウィスコンシン州のアセントタワーで最高86.6mを誇ります。 本体の構造は、集成材の梁と柱で構成され、外装はガラス、土台はコンクリートといったハイブリッド建築です。

また、2023年12月に発表されたオーストラリアに建築予定の『C6』が、世界一高い木造ビルになる予定です。 建物の42%に木材を使用し、柱やコア部分は鉄筋コンクリートが使用されるハイブリッド構造です。 高さは、アセントタワーの2倍の191.2mです。

木造オフィス建築のご依頼は「PREST WOOD」にお任せください

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カーボンニュートラルを目指し、国内木材の使用と森林循環の育成を目的として、木造建築が推奨される背景を紹介しました。 構法の発展により、大規模高層ビルも建築可能となってきています。 企業ブランディングや社員の労働環境にもプラスである木造オフィスを検討してみてはいかがでしょうか?

PRESTWOODは、平屋中大規模の木造建築を得意としたブランドです。 ATAハイブリッド構法を採用し、鉄骨造と同じレベルの中間柱の無い広い空間を可能にしました。 木造オフィスの建築を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

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