近年、地球温暖化対策として脱炭素社会の実現が求められており、建築業界においても環境負荷の低い木造建築が注目されています。
木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べてCO2を削減できるだけでなく、短工期で施工できる、減価償却期間が短いといったメリットも持ち合わせています。
本記事では、店舗を木造で建築するメリットについて詳しく紹介します。
くわえて、木造建築が推奨されている背景や傾向、具体的な建築例などを解説しますので、木造建築の店舗建築を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
木造で店舗を建築するメリット
店舗を木造で建築すると、以下のようなメリットがあります。
● 脱炭素社会実現へ貢献できる
● 短工期だから早期に運用を開始できる
● 減価償却期間が短く節税効果がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
脱炭素社会実現へ貢献できる
木材は、成長過程で二酸化炭素を吸収する特性があるため、木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて、CO2排出量を大幅に削減できます。
近年、脱炭素社会の実現に向けて、環境負荷の低い建築方法が求められており、木造建築はまさにそのニーズに合致していると言えるでしょう。
また、日本の4割は人工林で、戦後に造林された人工林が利用期を迎えています。それにもかかわらず、木材の利用が進んでいないといった課題もあります。
画像引用:林野庁
現在利用期を迎えている人工林のサイクルを適切にすることで、問題解決へとつながります。具体的には、以下のような効果が期待できます。
● 木材の炭素貯蔵効果
● 化石燃料の使用量削減
● 森林の育成
● 地域の活性化
木材を利用する場合、鉄骨や鉄筋コンクリート作りに比べ、製造や施工過程における化石燃料の使用量が少ないのもメリットです。
間接的な効果としては、森林を適切に育成でき、地域活性化につながる点が挙げられます。
短工期だから早期に運用を開始できる
木造建築は、鉄骨や鉄筋コンクリートに比べて工期が短く済みます。 建て替えやリニューアルの場合、店舗休業期間が短く済むと、売り上げへのマイナス影響を最低限に抑えられます。 また、部材自体が軽量なため、基礎工事や架設作業などの負荷が軽く済むのもメリットです。
減価償却期間が短く節税対策にもなる
減価償却とは、建物・車両・構築物・機械設備などの固定資産を購入した場合、建物を資産として計上できる期間です。
同じ金額の場合、減価償却期間が短いほど、毎年計上できる減価償却費が多くなります。
木造建築物は鉄骨や鉄筋コンクリートに比べて減価償却期間が短いため、税制上のメリットがあるといえるでしょう。
その期間は、木造約20年に対し、鉄筋コンクリート造約40年、鉄骨約31年となっています。
同じ木造でも用途により減価償却期間は微妙に違います。それが以下の場合です。
● 店舗用:22年
● 飲食店用:20年
● 旅館・ホテル:17年
参照:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
木造店舗の建築が推奨されている背景と傾向
近年、店舗建築において木造が推奨されている背景は以下のとおりです。
● 脱炭素社会実現のため政府が力を入れているか
● 構法の開発で大規模木造建築が可能になったから
傾向として「500㎡以下の店舗における木造率は31%」となり、木造建築店舗が増えてきました。その詳細についても解説します。
脱炭素社会実現のため政府が力を入れているから
日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを掲げています。
その一環として、木造建築の普及を推進し、関連する法規制の緩和をすすめているところです。
具体的な法改正としては以下のようなものがあります。
「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(通称:都市(まち)の木造化推進法)の制定(平成22年)
これは、公共建築物建設に木材利用を促進するためのものです。
成果として、床面積ベースの木造率は8.3%から令和元年には13.8%まで上昇しました。
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和3年法律第77号)
この法律により、木材利用推進の対象が公共建築物から民間建築物に拡大しました。
また、農林水産省の特別の機関として林野庁に木材利用促進本部が設置されています。
地方公共団体においても、令和5(2023)年2月末時点で、全ての都道府県と1,634市町村(94%)が都市(まち)の木造化推進法第11条及び第12条に基づく木材の利用の促進に関する方針を策定しています。
構法の開発で大規模木造建築が可能になったから
近年、木造建築の技術が大きく進歩しており、大規模な木造建築が可能になりました。
従来の木造建築では難しかった、大開口や複雑な形状の建築も実現できるようになっています。
林野庁も非住宅木造建築の中高層建築物が増えている背景として技術開発が貢献していると、以下のように指摘しています。
「非住宅・中高層建築物に関しては、CLT(*44)(直交集成板)や木質耐火部材等に係る技術開発とともに、建築基準の合理化が図られ、技術的・制度的に木材利用の環境整備が一定程度進んできた。
その中で、木材を構造部材等に使用した10階建てを超える先導的な高層建築の例も出てきている。」
具体的な技術開発事例として以下のようなものがあります。
● CLT(Cross Laminated Timber)の普及
● 耐火性能の向上
● 接合技術の進歩
CLTは、複数の木材を繊維方向に直交させて接着した板材です。
強度と剛性に優れており、大規模木造建築に適しています。
また、木材は燃えやすいというイメージがありますが、近年は耐火性能の高い木材や防火処理技術が開発されており、木造建築の安全性も向上しています。
木材を接合する技術も進歩しており、大規模な木造建築でも強度を確保できるようになりました。
木造低層小規模建築物の増加
平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、木造低層小規模建築物が増加しています。
約10年間で17.9%から29.7%まで166%の増加です。
画像引用:林野庁|「令和二年度の公共建築物の木造率について」
木造低層小規模建築物は、500㎡程度の規模で平屋建てまたは2階建ての建物を中心とし、最大でも1000㎡を想定しています。
地域工務店・事業主・事業コンサルが連携し、適切に事業化を進めていく流れができつつあります。
参照:公益財団法人 日本住宅・木材技術センター|木造低層小規模建築物の実践方策の手引き
500㎡以下の店舗における木造率は31%
国土交通省の調査によると、500㎡以下の店舗における木造建築の割合は31%となっています。 全体平均39%よりは低いものの、500㎡以下の木造店舗は全体の約1/3と決して少ない割合ではありません。 政府の後押しにより、今後も木造店舗は増加傾向となるでしょう。
ATAハイブリッド構法のイメージ例
ATAハイブリッド構法を採用する「PREST WOOD」では、木造店舗建設の中でも、大空間を得意としてい ます。以下では、木造店舗にATAハイブリッドトラス構法を採用した場合のイメージ例を紹介します。 ATAハイブリッド構法で建築する場合、中間柱が無いので、テーブルを無駄なく自由に配置できます。 また、その他地域において延床面積を1,000㎡以下で計画できれば、耐火構造を回避して、木を現しにして広い店舗空間を実現できます。
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環境負荷低減と経済性も両立できるため、まさに理想の木造店舗建築を実現するための最適な工法と言えるでしょう。
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