近年、環境への配慮から木造倉庫の建築が注目されています。 しかし、鉄骨造倉庫に比べて、木造倉庫はどのようなメリットがあるのでしょうか? この記事では、木造倉庫と鉄骨造倉庫を比較しながら、木造倉庫を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。 倉庫をこれから建築しようと考えている事業者様は、ぜひ参考にしてください。
木造倉庫のメリット
木造倉庫のメリットは、以下の4つです。
● 建物が軽く基礎工事の負担が軽い
● 工期が短い
● 結露しにくい
● 環境への貢献度が高い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
建物が軽く基礎工事の負担が軽い
木造は鉄骨に比べて重量が軽いため、建物の基礎にかかる負担も軽くなります。 木造と鉄骨を比較すると、全体の重量は半分~1/3程度しかありません。 そのため地盤への負担が鉄骨に比べて少なく、基礎工事費用におけるコストカットが可能です。
工期が短い
設計・建物規模・環境条件によって変動しますが、木造の場合の工期が3か月程度であるのに対し、鉄骨の場合は4か月程度が目安とされています。 工期が短くできる理由として、プレカット工法により、工場で加工された木材を運び現場では組み立てるだけで済むためです。 また、鉄骨造に比べて軽量なため、基礎工事にかかる日数も短くすみます。 1日でも早く稼働させたい場合などにもおすすめです。
結露しにくい
鉄に比べ断熱性が高い木材は、結露しにくいといった特徴があります。 結露を放置するとカビやダニの発生原因となるため、それらに弱い農作物などを保存するのにも適しているでしょう。 もちろん全く結露しないとはいえませんが、木材の吸湿性は倉庫内の空気や湿度の急変を防ぐ効果があります。
環境への貢献度が高い
木は再生可能な資源です。
また、成長過程でCO2をたくさん吸収するため、環境負荷が少ない素材といえます。
木材を伐採して製材したとしても、吸収したCO2は木材に蓄積されたままのため、CO2削減貢献が期待できるのです。
近年、企業活動において環境への配慮が重視されていることから、木造建築はSDGsの観点からも注目されています。
画像引用:木製品のライフサイクルアセスメント
LCA(ライフサイクルアセスメント)で比較すると、木造は鉄骨の半分です。
LCAは製品(あるいはサービス) の原材料の採取から製造・使用・廃棄 に至るすべての過程を通して、環境に与える負荷の大きさを定量的に評価する手法です。
その枠組みや実施手順は国際的な標準規格(ISO)に規格化されています。
木造倉庫のデメリット
木造倉庫は、多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。
以下の2つの点も考慮して検討しましょう。
● 防耐火の規制により規模が制限される
● 大空間の実現が厳しい
それぞれ順に見ていきましょう。
防耐火の規制により規模が制限される
大規模な木造建築物は、特殊建築物に限らず、高さ16mを超える、または4階以上のもの、延床面積が3,000㎡を超えるものは、主要構造部を耐火構造にする必要があります。 また、延床面積が1,000㎡を超える建築物は、防火壁で区画する必要があります。
大空間の実現が厳しい
木造倉庫は、強度を出すために柱や梁などが必要なため、構造上の制約などの課題があります。
ただし、近年では集成材や金物接合などの技術を用いることで、大空間を実現できる木造倉庫も開発されています。
その工法としては、以下のようなものがおすすめです。
● ATAハイブリッド構法
● 構造用集成材やLVLなどの高強度木材を使用
● トラス構造
大空間の倉庫を建築したい場合は、専門技術を持つ企業に依頼しましょう。
木造倉庫と鉄骨造倉庫の比較
木造倉庫と鉄骨倉庫の特徴を以下の項目で比較してみました。
● シェア比率
● 法定耐用年数
● 減価償却期間
● おすすめの業種
それぞれ見ていきましょう。
シェア比率
2017年の国土交通省の建築着工統計調査によると、日本の倉庫のシェアは以下の通りでした。
画像引用:林野庁|木材利用の動向
全体に対して、倉庫の木造率は5%ですが、500㎡未満の倉庫の木造率は高く、20%となっています。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、減価償却計算における資産の使用可能期間のことです。
種類 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造倉庫 | 15年 |
鉄骨倉庫 | 31年 |
鉄骨造倉庫は、木造倉庫の約2倍の耐用年数があります。 ただし、適切にメンテナンスすれば15年以上経っても問題なく使用できるケースは多く、あくまでも目安と考えましょう。
減価償却期間
減価償却期間とは、税務上の計算において資産の取得価額を毎年一定額ずつ費用として計上していく期間のことを指します。 減価償却期間は、法定耐用年数と同じで、こちらは償却期間が終了すれば税制上の優遇がなくなります。
種類 | 減価償却期間 |
---|---|
木造倉庫 | 15年 |
鉄骨倉庫 | 31年 |
耐用年数が過ぎて減価償却が終わった資産であっても、事業用に所有している場合は、償却資産として申告できます。
廃棄、譲渡などの処分をしない限り、固定資産税の対象となり、最終的には取得価額の5%が償却資産課税台帳に登録されます。
参照:国税庁|減価償却資産の償却限度額の計算方法
参照:マネーフォワード|減価償却資産における残存簿価1円について解説
おすすめの業種
木造倉庫の設置がおすすめの業種と、おもな利用目的について紹介します。
業種 | 利用目的 |
---|---|
農林水産業 | 農産物や資材の保管、農機具の収納 |
建設業 | 建築資材の保管、仮設事務所 |
運送業 | 貨物の保管、配送拠点 |
小売業 | 商品の保管、店舗のバックヤード |
卸売業 | 商品の保管、流通拠点 |
製造業 | 部品や製品の保管、工場の倉庫 |
EC事業者 | 商品の保管、発送拠点 |
レンタル業 | レンタル品の保管、営業所 |
個人事業主 | 仕事道具や商品の保管、作業場 |
ほかにも道の駅や事務所にも木造建築はおすすめです。 SDGsの観点から企業ブランディングへの効果もあります。 早く店舗を開業したいなどのニーズにも応えられるでしょう。
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